2026-07-23

追悼文が書けないときに|故人のエピソードから言葉を紡ぐ書き方

白紙を前にして、手が止まってしまう理由

追悼文を書こうとして、パソコンや便箋を前に何時間も固まってしまった。そんな経験をお持ちの方は、決して少なくありません。

それは、あなたの気持ちが足りないからではありません。悲しみの只中にいるとき、人は言葉を組み立てる力そのものを一時的に失ってしまうものだからです。むしろ、書けないほど大きな存在だった、ということなのだと思います。

この記事では「追悼文 書き方」「偲ぶ言葉 例文」を探してここに辿り着いた方に向けて、感情を無理に絞り出すのではなく、エピソードを手がかりに言葉を紡いでいく方法をお伝えします。

白紙のノートとペンが置かれた静かな机の水彩画

追悼文・弔辞・偲ぶ言葉、何が違うのか

言葉の使い分けに迷う方も多いようです。厳密な決まりがあるわけではありませんが、一般的には次のような使われ方をしています。

  • 弔辞:お葬式や告別式の場で、代表して読み上げる言葉
  • 追悼文:後日、会報誌や手紙、文集などに寄せる文章
  • 偲ぶ言葉:形式にとらわれず、その人を思い出しながら綴る言葉全般

どの言葉を使うにしても、根っこにあるのは同じことです。「その人がどんな人だったか」を、あなたの言葉で残すということです。

書く前に。エピソードを集める3つの視点

いきなり文章を書こうとするから、手が止まります。まずは書くことより、思い出すことから始めてみてください。

1. 口ぐせや、よく言っていたこと

何気ない一言に、その人らしさが宿っています。「もったいない」が口ぐせだった、「まあ、なんとかなるよ」といつも言っていた——そんな言葉です。

2. 日常のワンシーン

特別な出来事でなくて構いません。台所に立つ後ろ姿、電話口での声の張り、お盆に集まったときの席順。ふとした場面ほど、その人らしさが残っています。

3. 最後に交わした言葉や時間

病室での会話、電話の最後の一言。重すぎると感じたら、無理に含めなくても大丈夫です。

この段階では、文章にしようとせず、箇条書きのメモで十分です。

実際の書き方:4つの手順

手順1:思い出せる場面をひとつ選ぶ

すべてを書こうとすると、かえって何も書けなくなります。まずは一つの場面だけを選んでください。

手順2:その場面の「音」や「言葉」を書き留める

情景ではなく、実際に交わされた言葉や、聞こえていた音を書き出します。「〇〇と言っていました」という事実の形にすると、筆が進みやすくなります。

手順3:感情ではなく、事実から書き始める

「悲しいです」「寂しいです」から書こうとすると、止まってしまいます。まずは「祖母は、毎朝5時に起きてお味噌汁を作っていました」というような、事実の一文から始めてみてください。感情は、その後に自然とついてきます。

手順4:短くてもいい、完成させなくていい

追悼文に決まった長さはありません。一つのエピソードと、それに添える短い言葉だけでも、十分に「その人らしさ」は伝わります。

窓辺で花の手入れをする手元を描いた水彩画

偲ぶ言葉の例文

形式的な例文よりも、実際の場面を思い浮かべながら書いた方が、自然な言葉になります。参考として、事実ベースの短い例を挙げておきます。

父は、休みの日になると必ず庭に出て、花の手入れをしていました。「花は正直だから」と、よく言っていたのを覚えています。

祖母の家に着くと、いつも同じ匂いのお茶が出てきました。今でも、あの匂いを嗅ぐと祖母の台所を思い出します。

母は口数の多い人ではありませんでしたが、電話を切る前に必ず「気をつけてね」と付け加える人でした。

こうした例文は、あくまで書き方の一例です。大切なのは、飾った言葉ではなく、あなたが実際に見てきた、聞いてきたことを書くことだと考えています。

それでも書けないときは、一人で抱えなくていい

手順を踏んでも、やはり書けないという方は多くいらっしゃいます。それは自然なことです。悲しみのさなかにいるとき、一人で白紙に向き合うのは、想像以上に大きな作業だからです。

そんなとき、誰かに話すという方法があります。話した言葉を、誰かが聞き取り、形にしてくれる。そうした役割があれば、書くという行為の重さは、少し軽くなるかもしれません。

おもいで文庫という選択

おもいで文庫は、大切な方についての話を聞かせていただき、それをそのまま言葉として残すお手伝いをしています。物語を新しく創り出すのではなく、あなたが語った言葉を、あなたの言葉のまま、一冊の形にするという役割です。

主人公は大切な方、著者はあなた。おもいで文庫は、その間に立つ聞き手であり、書き役でしかありません。届く前には、必ず人の目を通します。

お葬式の日、廊下やお斎の席で語られた話も、含めて綴ることができます。その日のうちに消えてしまうはずだった言葉を、みんなで一冊に残すという考え方です。

もし、書こうとしても書けずにいるなら。まずは、その人の話を、私たちに聞かせていただけたらと思っています。

AIが創作するのではなく、聞き手として大切な人の物語を家族とともに綴り、一冊の文庫として残すサービス

その人の話を、聞かせてください

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